ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

転職活動記4 書類選考に応募してみた

落ちました。有名な資産運用の投信関連会社です。

証券リテール出身者ニーズがなかったです。

現場で全てを消耗してきた20年のキャリアは考慮されずです。

面接の機会すら無しで、チャンスは与えられませんでした。

fp、アナリストは取りましたが、本社での営業以外のキャリアパスがないからかと邪推してます。

経営戦略上、ポジションがないとのコメントでした。

若手のうちから本社勤務希望を出して、営業から脱出した方が勝ち組になるのか?この現実に憤りを覚えました。これからの時代誰も営業なんかやりたがらないでしょう。

リテール一筋という職歴は、コアな職種にのみ受けがいいという、特殊なものなのかもしれません。運用側に転じようというのは甘い考えだったようです。

 

転職活動記3

担当のエージェントから山のように紹介がきて、スカウトメールも溢れるほど来るので、今は売り手市場なのは間違いないと思います。

ただ、自分のスキルと求められたスキルがマッチしてるかというと、かなりギャップがあります。

証券リテール営業一筋なのにIT関連はハードル高すぎです。

基本的に証券営業現場では新しいテクノロジーは好まれないです。新しいシステムを覚えるのが面倒なので。

アプリの導入も同様です。

顧客情報のやり取り、管理、セキュリティを考えると、その手間をかけてまで踏み切るインセンティブがないということでもあります。

メール利用、LINE利用程度は会社として導入はしますが、営業員は使いたがらないです。気軽に問い合わせがなされると時間関係なく顧客対応が必要になるので、電話一本で終わらせる方が楽です。「弊社は遅れているので」と断るケースが大半です。お客さま以外の外部にメールをすることも皆無なので、基本的なビジネスマナーもメールの打ち方もよくわかりません。資料はどこかの部署で作られてるものという感覚なので資料作成はできないです、データ分析も若手にやらせるのでExcelもだめです。

そんな内情を知ってか知らずか、ITからの求人が非常に多いのが肌感覚です。

おそらくマネージメント経験しか見ていないのだと思います。

証券リテールは営業に強いというイメージがあるのか、営業管理職経験者ならなら新規プロジェクトやチーム運営ができるという先入観なんだと思います。

フィンテック信販系、保険、不動産、いずれもお金に関わる業種ですが、知識皆無です。クラウド、システム、アプリ、リモートの普及で人材を欲する事情があるのは理解できますが、完全にお門違いです。

企業の採用担当の方には是非ご周知いただきたい。証券マンは忍耐力はありますが、特別なスキルはないです。

ただ、言えることは、今標準的なITリテラシーを持ってる人であれば、かつてないキャリアアップの好機が来ているということだと思います。

日本電産が急落

永守会長ならやりかねないな、さもありなん。と流したいニュースではありますが、業績とは関係がないトピックにこうも株価が反応してしまうと否が応にも注目を集めざるを得ません。

厳罰に処すべきなのか、飛ばしの記事に振り回されたのか、続報、確報がでない分には判断つきませんが、如何せんタイミングが悪いです。

日銀政策不変で海外勢がイージートレードとして円売り敢行したように、今積み上がっている信用残からすれば、格好の取引機会と収益機会をトレーダーに提供してしまった感は否めないです。

もし、私が証券マンなら。全力で買いを推奨していたと思います。オリンパスの不正会計を例にあげながら、トヨタのリコールを説きながら。

ただ、買い成立後、往復手数料が抜ける150円高で売り指値を入れるべきと提案したと思います。

日々のノルマに晒される証券営業にとって、投資は高ボラティリティが王道とされているのです。

仕組債の功罪2

昨今、金融庁の仕組債への発言がより厳しくなっています。
経済アナリスト山崎元氏は特に辛辣で、詐欺、悪徳商品と以前から厳しく糾弾されていますが、
私の見解としては過去ブログに取り上げたように、投資家の運用手法と販売側の論理が一貫した根拠に基づくのであれば、容認できると考えています。

しかし、金融庁検査の一報が流れてからというもの、はたから見て残念すぎるくらいの、諸金融機関の狼狽振りは目に余るものがあります。
理由は明らかです。


①トラブルが多いから
②コスト体型を明示すると、過去に販売した仕組債の内情が公に晒されるから


に他なりません。

Googleで「仕組債」とニュース検索をかければ、大量の記事が出てきますが一斉に右に倣えで取り止めの方向に動くのは、投資家の為とは思えません。
問題はリスクとコストを隠すインセンティブが働いていることにあります。
仕組債は営業側からすると麻薬のようなものです。1つの注文にかける時間は同じでも手数料率が極めて高いからです。私募でなく公募であれば、一定の営業収益が読め、経営計画策定が容易になります。
一部の地銀のような異常に高過ぎる仕組債収益構成比率が示すように、商品性ではなく、販売側のモラルが問われてくるからこそ、今回の各社の決断が意味する「本気度」が、もしくは「運用者としての矜持」が推し量れることにも繋がり得るわけで、金融庁が謳う顧客本位を実践できているかの試金石になる点は今後も要注視です。

 

shirase.hatenablog.com

 

転職活動記2

ニーズがあるかはわかりませんが、なかなか経済、市況に私見を書く時間が取れないので、エッセー形式で独り言を書き留めていこうかと考えています。

 

転職にあたって、辞めていった部下、同僚、上司の話を聞いています。時間はたくさんあるので。

証券会社という狭い世界で生きていると見えなかったことがいかに多いことか。

証券会社では、話すときに「おはようございます」とつけなければいけません。
離席するときは、席を外しますと宣言しなければなりません。

沈黙は悪です。

電話をしていないと「何で静かなんだ」とゲキが飛びます。
受話器をあげていないといけないので、番号を押さずに繋がっていない受話器を持ち続けている人もいます。
掛けても絶対に繋がらない(出る気がない)お客さまの電話をひたすら呼び出し続ける人もいます。
留守電に営業をしている、自分の携帯に営業をしているという笑い話のような都市伝説は実在します。
全ての電話が録音されている、受話器をあげたら録音が始まるというシステムを知らない人が一定の割合で存在するので、そのような事件が定期的に起こります(若手が多い)。

これらの話しは昭和でなく令和の話しです。

他業界の話を聞くとこちらは驚きますし、相手も驚きます。

ITに転じた元部下は全てが衝撃だったと言ってました。ことある毎に、相手がドン引きし「お前の前職ヤバすぎ」と言われていたそうです。

コンプライアンス部の口癖は「証券会社の常識は世間の非常識」です。今更ながら実感しています。

転職活動記

証券マンを辞めて早半年。

有給消化分、企業年金脱退金、雇用保険の減りは想定以上に早いです。

年金、健保、住民税の支払い。

収入がなく、貯金を取り崩す恐怖は想像以上でした。

高齢のお客さまが仰っていた取り崩しの意味合いがようやく理解できました。

会社を辞めていった仲間に会ってみたり、未経験職種の面接を受けてみたり見聞を広げています!

 

デフォルト常連のアルゼンチン国債

アルゼンチン国債は過去幾度となくデフォルトを繰り返してきた。2020年までで9回と常連と言っていい。

9回目の2020年デフォルト時は650億ドルの外貨建て債の再編が行われ、最終的に額面に対して54.8%まで減免され、投資家の保有債券は半値近くになってしまった。2018年の通貨危機IMFが金融支援を行っており、IMFは回収不能になることを避けるため緊縮財政の義務付け無しに債務減免することを民間債権者にも要請していた。また2019年に発足した左派フェルナンデスが大衆の反IMFの機運を利用し、また市場重視のマクリ前政権の失策と喧伝することで強気の交渉に臨み債権団に負担を強いた。IMFの支援なしにアルゼンチンの債権は不可能で、債権者はそれを飲まざるを得なかった。さらにはコロナの影響で連鎖的に新興国中心にデフォルトの可能性が高まっていたということも追い風になったと考えられる。

そして有名なのが法廷闘争となった2001年のデフォルト。ディストレスファンド(経営不振企業や破綻した企業の株や債券を運用対象とする)のエリオットが額面に対して約30%で国債を買い集め債務返還を迫った。交渉過程でアルゼンチン政府は75%の元本削減を実行するものの、これを不服としてエリオットがアメリカで訴訟を起こす。

アメリカの裁判所は全額の支払いを命じる判決をアルゼンチン政府に出し、これを受けてエリオットはアルゼンチン海軍の船舶や人工衛星の打ち上げ契約など、考えられないような資産差し押さえにかかった(他にもペルー政府の資産差し押さえをしたこともある)。

こういった動きに対してアルゼンチン政府は反発し、債券の利払いに応じず、アメリカ裁判所がドル建て債の利払いを停止する命令を出す。その結果2014年再度アルゼンチンはデフォルトを起こした。決着は2015年に誕生したマウリシオ・マクリ大統領(ボカジュニオールズの会長として日本でも有名)のもとで再度交渉がなされ、25%の元本削減で合意され2016年のことである。

ここまでデフォルトを繰り返すにもかかわらず、買い手がついていることに驚くが、結局のところ運用サイドからするとリスクに目を瞑っても利益を生み出さなければならない事情とそれを可能にする世界的な過剰流動性があるからである。短期的な成果を求められるファンドや生計がかかっている運用者は、他のファンドが購入しているにもかかわらず自ファンドが購入しないという選択はできない。それもイールドハンティング(利回りを求めて狩りをする)と揶揄されるくらいに、低金利状態が長く続いていた背景がある。

現在は金利上昇局面でありハイリスク資産の下落は相当なものであるが、低金利でカネ余りの状況だから許容されていたリスクがいつ噴出するかわからないという意味で、アルゼンチン国債は高利回り投資への警鐘をならすものであることは間違いないであろう。