ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

仕組債の功罪2

昨今、金融庁の仕組債への発言がより厳しくなっています。
経済アナリスト山崎元氏は特に辛辣で、詐欺、悪徳商品と以前から厳しく糾弾されていますが、
私の見解としては過去ブログに取り上げたように、投資家の運用手法と販売側の論理が一貫した根拠に基づくのであれば、容認できると考えています。

しかし、金融庁検査の一報が流れてからというもの、はたから見て残念すぎるくらいの、諸金融機関の狼狽振りは目に余るものがあります。
理由は明らかです。


①トラブルが多いから
②コスト体型を明示すると、過去に販売した仕組債の内情が公に晒されるから


に他なりません。

Googleで「仕組債」とニュース検索をかければ、大量の記事が出てきますが一斉に右に倣えで取り止めの方向に動くのは、投資家の為とは思えません。
問題はリスクとコストを隠すインセンティブが働いていることにあります。
仕組債は営業側からすると麻薬のようなものです。1つの注文にかける時間は同じでも手数料率が極めて高いからです。私募でなく公募であれば、一定の営業収益が読め、経営計画策定が容易になります。
一部の地銀のような異常に高過ぎる仕組債収益構成比率が示すように、商品性ではなく、販売側のモラルが問われてくるからこそ、今回の各社の決断が意味する「本気度」が、もしくは「運用者としての矜持」が推し量れることにも繋がり得るわけで、金融庁が謳う顧客本位を実践できているかの試金石になる点は今後も要注視です。

 

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