ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

亡国のアベノミクス

英国の通貨安、国債、株価下落のトリプル安で、改めて市場のシビアでドライな側面を見せつけられた。

大規模な経済対策としての減税、インフレ対応策に対して、財源、裏付けがないことを理由にポンドが売り込まれ対ドル史上最安値まで沈んだ。当然のことながら金利や株価にも影響が及びイングランド中銀の出番となった。

その後クワーテング財務相の解任、減税の大半が撤回という動きはあったものの、年金運用が苦境に陥るなど混乱は続く見通しである。

ポピュリズム大衆迎合が、大衆の首を絞めるという事実と非常時対応が常態化するという事態に警鐘が鳴らされたとも言える。

減税で支出が減ること、給付金や補助で実質所得が増えること、誰しもが望むことではあるが為政者が有権者と同じ目線ではいけないし、有権者をばらまきで釣ろうとしてはいけない。コロナで弛んだ規律に市場がノーを突きつけたということでもある。

 

今。改めて思い起こされるのは7月の参院選です。与党劣勢が伝えられるなかで7月8日に安倍元総理の一報が入り、7月10日の投票日では弔い票が大量に
与党に流れたのは疑いようがないです。野党は裏付けがない減税を強調していたわけで、今まさにイギリスで実行されようとしていたことです。財源を示すことなく、国民に寄り添う姿勢を強調するのは罪深いと思います。

全国旅行支援が始りましたが、いつまで支援やるの?ロックダウンからもう2年以上たつし、経営リスクとして各社が対処すべき問題になってるんじゃないの?どうせネットも電話も繋がらないし、定価の高いプランしか提示されないじゃんという気分にならざるを得ない今、はらただしさが残ります。

話が逸れましたが、各国の誰もが未経験の緩和からの出口戦略に戦々恐々とする中で、ファーストペンギン的で、挑戦的な試金石の一番槍をイギリスに譲ったという帰結を見るに、安倍元総理の一件は意味があったと思うのです。

アベノミクスという賛否両論の歴史的冒険記の結末や幕引きを引き延ばせたということに、最後まで投資家に配慮した安倍元総理の生き様を感じるのです。

 

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