ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

リモートワークが問う経営理念

不安定で不確実な状況に直面した時こそ企業の本質が問われる。

コロナウィルス蔓延によって、抱えていた問題や企業経営に内包された課題が表面化したということでもあるだろう。

在宅社員の管理や指導、対外的なビジネス相手とのリレーションやステークスフォルダーとの関わりかた。ビジネスモデルはもとより会社の存在意義を問い直す必要が増した。

そしてなにより重要なのは経営者のリーダーシップである。社員のモチベーションやロイヤリティは日頃から目標や目的、意義などをぶれずに一貫して伝えることで初めて浸透されていく。顧客軽視や短期利益追求といったことを日常的に行っているようでは一枚岩の組織にはならない。困難な時期ほど社会的使命、経営理念を拠り所に全員が同じ方向を向かなければならないにも関わらず、その組織運営に賛同するものがいなくなるからである。

そして精神的離反が、危機時における各人の当事者意識の低下にも繋がり、他人事のように振る舞い、コロナ蔓延を言い訳に使うような自制心の低下につながってしまう。

リモートワークに真摯に取り組む社員もいれば、サボり放題の社員もいる。それ自体は擁護できないが、そのような社員を作ってしまったマネジメントにも少なからず責任はある。なぜならば、同じ理念、目的を持った仲間を裏切れないという意識が希薄であるということでもあり、日々の業務や施策が理解を得られていないからだ。

そのような状況を看過してしまうと企業を揺るがすようなコンプライアンスの問題に発展しかねない。昨今の検査不正問題などの企業不祥事はその典型であろう。社会、顧客、仲間を思えば踏みとどまれるようなことであるが、経営理念が浸透されていないことで、歯止めがきかない状態なのであろう。コロナウィルスは様々な変化を社会に引き起こしたが、はからずも企業に対し、経営理念、ガバナンス、コンプライアンスといった根幹を再定義させようとしているようである