ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

自社株買いが底を示唆

相場に厳しめの論調が強いブルームバークから久々に明るいニュースが出た。企業経営者や幹部による自社株買いの動きが活発であるとのことである。

経営者が自社の株価を買うというのは、会社の価値が低く見積もられ株価が安いからに他ならない。記事によると5月に1100社余りの経営幹部が自社株を購入し、2020年3月以来初めて、「売りに動いた企業」を「買いに動いた企業」が上回ったとのことである。それを数値化

(買い企業)/(売り企業)

としたときに、5月は1.04(4月は0.43)。注目すべきは同指数が上昇する局面で株式相場が底打ちしたことが多い点である。チャイナショック後の2015年8月直前、米中摩擦が叫ばれた2018年終盤、そしてコロナショックの2020年3月。

企業が業績予想を達成できることへの強い自身の表れであると、アイコンアドバイザーズのキャラハンCEOは指摘し、「投資家は上空から俯瞰するが、経営者たちは現場を見ている。ファンダメンタルズの見解は正しいだろう」と述べている。

今回の下落ではスターバックスのハワードシュルツ、インテルのゲルジンガーが自社株買いを行っている。米国企業は1月以来6660億ドルの自社株買いを発表しており、予想を2割上回っている。イギリスではバークレイズが10億ポンドの自社株買いを開始し、21年3月決算が出そろった日本企業でも自社株買いが相次いでいる。日本企業の自社株取得枠が前年同期に比べ4倍の金額と件数を記録したとのことである。

今朝の日経スクランブルにも同様の記事があり、QUICK月次企業調査の自社株判断DIが紹介されている。割安の回答から割高を引いた比率から算出するが、TOPIXとの相関性が高く、過去10年で経営者が割安と判断してから1年後に株価は修正されており、割高と判断された時も同様の値動きが見られたとのことであった。

 

企業の行動として手元の資金をどう使うか。業績拡大への設備投資もあれば、時間を買うM&A等、様々な手法はあるが、昨今のマーケットで株価が堅調なのは自社株買い発表企業が多く、TOBがかかったような企業は活況である。保有株増の適時開示などと共に自社株買いを投資尺度について再度注目していきたい。