ShiRaSe’s blog 元証券マンの雑記

20年の証券リテール営業を経験し、私見を雑記的に書き留めていきます。

外人投資家はどう動くか

サウジアラビアの政府系ファンドPIF任天堂に出資をしたとの報道がありました。4100億円650万株。SWFであるPIF(パブリックインベストファンド)は予てからネクソンコーエーテクモカプコン等日本のゲーム、エンタメ企業への投資を行っていることで知られています。報道によるとムハンマド皇太子は日本のアニメ、ゲーム好きで知られているとのこと。資源高を背景とした産油国の資金力が再度具現化された案件とも言えます。

このニュースに示唆さていることは外国人投資家に選ばれることがいかに重要かということではないでしょうか。

外国人投資家の売買シェアは70%、持ち株比率は30%と言われ影響力は絶大です。日々外国人投資家の動向が買い越しか売り越しかアナウンスされることからも無視できない投資主体であることは間違いありません。

先日東京証券取引所が発表した5月1週の投資部門別株式売買動向において6週連続買い越しとなったばかりですが、ここで気になるのはその6週間で株は好調と言えるような動きをしたのかどうか。少なくとも好況とは言えなかったと思います。

つまりは買われる銘柄と投げ売られる銘柄の二極化が顕著になってきており、それこそが今世界的に進んでいる、グロースからバリューという変化そのものだと考えられます。

経験則からすると、得てして外国人投資家は一定株数までは順張りで株を集めて、四季報に大株主として記載されるくらいの保有株比率水準からは買い増しには動かないように思います。証券マン時代、株のセールスをする際には「外人投資家が認めた企業です」「世界的に飛躍できる会社です」と売り込んだものですが思惑どおりにいかないことが多かったです。つまりは「先に買われていた」ということで、追随買いをすれば高値で売りをぶつけられるということです。

今大きく売られている銘柄はもともと海外投資家持ち株比率が高かった銘柄、特にコロナ禍で業績を伸ばしていたITサービス関連が多く、マザーズ指数の弱さやマザーズ時価総額上位が総崩れしていることからも類推できます。

米国でバフェットの割安株投資に積極的に動いている様子や機関投資家がIT関連銘柄を外していることからも、当面日本市場においてグロース株を売ってバリュー株を買うというトレンドは変わらないように思います。